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佐々木正悟のメンタルハック

メンタルハックをテーマにおいたビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のワークスタイルを中心に書いていきます

環境とその問題は一変したのに、対応能力が古いままの私たち

「猛獣」「ヘビ」「クモ」「高所」「水流」「落雷」「閉所」である。現在の先進国では、疾患・自然死以外の死亡の原因は「自動車」や「刃物」 「電気」「銃」であるのに

ヒトの脳にはクセがある: 動物行動学的人間論 (新潮選書)
ヒトの脳にはクセがある: 動物行動学的人間論 (新潮選書) 小林 朋道

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象徴というのは、難しいことを抜きにしていえば「イメージ」である。私たちにとって「不思議の国」の「入り口」は、ふつうではない「見え方」をしているはずだ。と思ってしまう。なぜなら私たちは、視覚をやたらと発達させた「ヒト」だから。

「普通のモノ」というのは、刻々と形状を変えたりしない、生きているように見えない、そのものの持つ色彩を放っている・・・などの特徴がある。「鏡」とか「時計」はそういう「普通のモノ」から逸脱している「異常なモノ」であるので、なんだか神秘的だ。

私たちは脳内に「ヘビをすばやく感知する特殊な脳の回路」を備えている。これが『ザナドゥ』のボスキャラを「キングドラゴン」にしておくと納得しやすい理由なのだ。

けれど、冒頭で小林さんが書かれているとおり、現代のゲームのボスキャラは、たとえば「大型暴走トラックの怪物」辺りにしておくべきなのである。ヘビ恐怖症だの、クモ恐怖症になるくらいなら、銃恐怖症や自動車恐怖症になる方が、実害度から言えば、理に叶っているはずだ。

もちろんMonsterは、余計な仕事を振ってくるハラスメント的な上司などであるべきだろうし、レッドポーションなどより、格安のペアチケットなどを回復アイテムにするべきだろう。

というのは、ぜんぜんダメでちっとも雰囲気がでない。つまりあの、ゲーム特有のまがまがしく、不可思議で、魅惑に満ちた、架空の古代的な雰囲気がない。あれは私たちの、古典的な脳の回路にダイレクトにアピールしてくるモノの世界観なのだ。人の頭の中にしかなくて、人の頭にはたぶんたいてい備わっている「集合的無意識」の、世界観なのだろうと思う。

私たちはヘビを見ると、通常よりも高い運動能力でそれを避けることができ、火を見るとワクワクし、平均的な男子は「投擲」が女子より優れていて、しかも遊びに取り入れたがるようだ。

私は思うのである。ホモサピエンスがもつ他の動物にはない特性の1つは、因果関係という情報処理に強くこだわる性質である。一方でわれわれホモサピエンスは、地球上に新種として誕生してからの20万年、その99%を草原や林、水辺で狩猟採集生活者として生きてきた。

時間にして、1%未満の文明化された日本の中で生きている私たちにとって、ヘビだけにやたらと直感が働いたりしても、ヘビのおもちゃで遊ぶときくらいにしか役に立たない。火を見てワクワクしても事故を起こすか、起こさなくても徹底的に怒られるだけである。投擲に優れた男子は自動車にくさった卵をぶつけたりできて、平均的な女子よりも将来が危ぶまれる。

今の私たちに必要なのは、ストレスになりそうな上司を目で見るよりもすばやく察知して、逃走でも闘争でもなく、ふってくる書類仕事にワクワクするような、大蛇をブレードで退治するのではなくて、プレゼン資料を脳波で完成させられる新しい類の「魔法能力」なのである。

しかし今現在、こっちの方が夢物語でしかないのだ。