佐々木正悟のメンタルハック

メンタルハックをテーマにおいたビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のワークスタイルを中心に書いていきます

正しい答えを出しつつ、そのことを説明するには、さらにリソースが必要だ

最近の教育心理学に登場した概念だと思うが「ジェスチャー・スピーチ・ミスマッチ」というものがあって「それは全くそうのはずだ!」と思っていたら、最近娘がこれを頻出させるようになって、とてもうれしい。

詳しくは以下のサイトで確認できますが、全部英語です。

Hearing Gesture: How Our Hands Help Us Think | Goldin-Meadow Laboratory | The University of Chicago

これは説明している内容と、身振りでやっていることが不一致であるような現象を指す。子供がよくやるやつである。

たとえばむすめが5歳前後の頃に「2時50分」を報告させようとするとよく「3時50分」と答えたりしていた。が、時計を見て「まだ3時になっていないこと」を自分のジェスチャーで同時に示していたりする。なのに「まだ3時じゃないのに?」などというと「もう3時になっているから」と「説明を始める」のである。

この種のことは、子供にはよく起こる。自分で答えたことの「正しさ」をうまく説明できなかったり、時にはまちがいを必死に説明しながら正解を出していたりするのだ。

さらに重要なことは、これら二つの相反する認知リソースが共存しているだけでなく、同時に活性し、機能している、つまり共起している点である。長さに基づく判断という優勢な反応を支える認知リソース(不正解)は、その強度の高さゆえか意識の上にのぼり言語的なアウトプットを生み出す。一方、言語的アウトプットを奪われた、一対一対応を支える認知リソース(正解)は、その場から退いてしまうのではなく、身体を通してそのアウトプットを生み出していると考えることができるだろう。

 

教養としての認知科学
教養としての認知科学 鈴木 宏昭

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 この教育的側面は大事だろうが私の興味はそこにない。私の興味は、大人における複数の認知リソースの共存についてである。

ある種の問題解決を迫られつつも、私たちはうまくその問題を解決できずに立ち置かれる、という事態はままある。しかしそのとき必ずしも「解法を知らない」とは限らないのだ。

すでに解決策を知っている可能性を、ジェスチャー・スピーチ・ミスマッチは科学的に暗示してくれている。ただ、それを言語化したり、その前に意識の上らせるためにも、もう多少の余裕が必要なだけという状況があるのである。