佐々木正悟のメンタルハック

メンタルハックをテーマにおいたビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のワークスタイルを中心に書いていきます

「顔から火が出るほど恥ずかしいこと」を思い出すのは脳のエラーだとすると?

 

なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか―記憶と脳の7つの謎

なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか―記憶と脳の7つの謎

 

 フロイトは「無意識」という「心の場所」を想定したとき、同時に「意識」と「前意識」という場所も区別のために名づけました。

この「前意識」を「無意識の中のいささか意識的な部分」みたいな非常にわかりにくい説明をする人もありますが、そういうものではなくておそらく、「ほとんど短期記憶とイコール」だと思います。

つまり、「前意識」というのは、今思い出そうと思えば思い出せるが、一時的に忘れている意識内容のことで、今なら「さっき奥さんがやって来て何を言ったか」みたいなことです。

それが思い出せないとか、相当の努力を払ってもハッキリは思い出せないなら「無意識」に属するということになるわけです。だから「記憶の検閲」などといった話になるわけですね。

とにかく、記憶にはなぜか「ものすごく努力しても思い出せない、壁が乗り越えられない」みたいな内容がけっこうあります。

一方で、「思い出さなくていいのに、強引に意識に入ってくる」ものもあります。冒頭の「顔から火が出るほど恥ずかしい」ことを頻繁に思いかえしては、自分を責めさいなむ人というのは、実際いらっしゃるのです。

たとえばこの人とか。

 

妻に恋する66の方法(2) (イブニングKC)

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 なぜなんでしょう? なぜ無意識とか自我といった「システム」は、もっとこう、自分に都合良く働いてくれないのか? なぜ「アイサツ」を漢字で書きたいときには、「検閲」なぞをかける一方、言わなくていいことをセミナーで言ってしまったことを忘れさせてくれないのか?

PTSDというものがあります。あれでフロイトはかなりなやんだと言われます。精神分析には「快感原則」という考え方があって、夢というのは、言ってみれば満たされない願望を満たしてくれる疑似体験なのです。小学校時代に好きだった女の子とデートした夢とか、あんまり見た覚えがないのはどうしてくれるんでしょうかね。

しかし私の生ぬるい悪夢などはまだしも、第一次大戦の悲惨な経験をフラッシュバックのような形で夢に見るというのは、一体どこが「願望充足」で「快感」だというのかというと、明らかにそうとは考えにくい。

そこでフロイトは、私からするとどうしてもやや苦し紛れのようにして(ここのところには確かに論争があります)「死衝動(タナトス)」といったものを考え出したと思います。そういうものが、「生の衝動」に対する1つのカウンターバランスみたいに、最初から人間には備わっているといった主張があるのです。

「死の衝動」は仮に考えから外しても、記憶には先に言ったような「不都合な機能」ないしは「機能不全」がどうもあります。私のライフハック仲間も「黒歴史」とか言ったりして、妙に自分の過去を気に病んでいたり、気に病まないまでもこだわっています。忘れちゃえばいいわけですよね。だいたい。

これがもし「エラー」なら、無意識の機能を「正常化」してやれば、そんなにつらい過去をいちいち思い出さないか、思い出すにしてももう少し「受け入れやすい形にして」思い出すことができるのかもしれない。

こうしたことというのは、実はけっこう高度というか、難しい話になっていくわけですが、無意識の使い方(?)が観察していると妙にうまい人というのは、確かにいるという気がしています。つまり、その人にも恥ずかしい過去や嫌な思い出はあるはずなのですが、「思い出し方」が巧みな人というのはいる気がします。

そしてそれが意外でもないでしょうけど、精神的健康にかなり役立っていると思われるわけです。