佐々木正悟のメンタルハック

メンタルハックをテーマにおいたビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のワークスタイルを中心に書いていきます

宇宙バンパイアーとのとても奇妙な出会い

 

宇宙ヴァンパイアー (新潮文庫)

宇宙ヴァンパイアー (新潮文庫)

 

これはコリン・ウィルソンという、ウィルソニアンとも言うべき人々の間では絶大に知られているけれど、今となっては限りなく無名に等しくなっている人の、おそらく最高傑作とされているB級映画の題材みたいな小説である。

このような紹介文にはわけのわからなさを禁じ得ないだろうけど、小説を読んでみて、しかもこれを面白いと感じてしまったら、この紹介文以上に簡潔に紹介するのが、そんなに簡単でないことがわかってもらえると思う。

この小説を、なぜか村上春樹さんが推薦している。だからこんな形で復刊しているのだが、だからといってそんなにこの小説を高く評価しているわけでもないらしい。「ストーリーは弱いけど、なぜかいい加減な思想がその脆弱性を補っているという変な組み合わせの小説ですよね」などという評価だったりする。

この小説というか「スペース・バンパイア」というものには実のところ、3度、変な出会い方をしている。

1度目は小学6年の頃に、担任の先生が同級生を「スペース・バンパイア」などを見に行ったということで叱りつけていたのである。つまりそれは当時「エロ映画」でしかなかったのだ。少なくとも当時の担任の先生にしてみれば。まあ、見に行った同級生も当時にしては早熟なヤツで、「エロ映画」を見に行ったんだろうと思う。

2度目は私がすっかりコリン・ウィルソンにハマっていた頃に、妹が古書店から買ってきたのだ。これはまっとうな出会い方で、まさにこれはウィルソンの小説としては最高傑作だと思った。そのときふと、「あれ、これはスペースバンパイアというんじゃないか。するとあの小学6年だったときの映画って、これだったのか!」と思ってさっそく映画を見て、非常に後悔した。

村上春樹さんが「これがひどい映画でね(笑)まあ、とんでもない映画で。」と述べているが、本当にそれ以外まったくなんともいいようがない映画なのである。原作のストーリーを無視しているわけではないが、原作はどこかへすっ飛んでしまっているとしか思えない。

で、3度目が今回。せっかく復刊してあるんだからと言うことですぐ買ったのだけど、しばらく読む気がしなかった。ハマっていた頃ならともかく、今はもう、なんか読まなければよかったようなことになるのが、イヤだったのである。

が、読みなおして、やっぱり自分にはこの人の作品というか作風というか文体がとても合っているのだと確認した。たしかに以前に比べると、自分が歳をとったせいで、アラが見えてしまうが、そんなことはわりとどうでもよかったりもするのだ。結局、面白いのである。

こういうことを、ブログにも書いておこうと思ったので今回、書いてみた。つまり、私たちが「忘れる」というのにはいろんな意味があるものだ。コリン・ウィルソンの「宇宙バンパイア」を忘れたということはなかったが、それを面白がれる自分というものを、我ながらうっかり忘れていたのである。