佐々木正悟のメンタルハック

メンタルハックをテーマにおいたビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のワークスタイルを中心に書いていきます

「優秀な頭脳」をきちんと発揮するための条件

リチャード・セイラー氏がノーベル賞受賞!

というのは慶賀なのですが、ダニエル・カーネマン氏も然り、「異端の」行動経済学者がどんどん喝采を浴びるようになる前から、彼らの理論にも根強い批判が渦巻いていて、そのへんの話もけっこう興味深いのです。

toyokeizai.net

 

行動経済学の逆襲

行動経済学の逆襲

 

 

間接的な関係にある話ですが、「4枚カード問題」という有名な問題があります。

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このカードの片面には数字が、もう片面にはひらがな、またはカタカナが書かれています。

このカードは「片面が奇数ならばその裏はひらがな」となるように作られているそうですが、本当にそうなっているかどうかを調べるためには、どのカードを裏返す必要があるでしょうか。なんまい裏返してもかまいませんが、必要最小限の枚数にすること。

この問題を出すと、多くの人が「3」と「う」だと答えるということになっています。

現に私も最初その間違いを犯しましたし、「正解」を聴いた後になってもなお、感覚的には「3」と「う」のような気がしてしまいます。

正解は「3」と「キ」なのですが。

この問題は、頭のいい小学生にでも解ける「レベルの問題」であり、それを大学院生の大多数が「ひっかかる」というのは、人間の思考力は、少なくとも直感的な思考力はいかにもあてにならないものだ、と暗示しているわけです。

しかし直観的な判断力を「あてになる」ようにすることもできるというか、あてになるケースとして例示することも可能です。

 

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ある地域にキャッサバという滋養豊かな食べ物と、モロナッツというふつうの食べ物があります。

この地域の部族的なルールとして、キャッサバを食べるのであれば、既婚者である必要があり、そのことを示す顔の刺青をしていなければなりません。

上の4枚のカードは、4人の刺青の状態と食べているものが示されているカードです。

部族のルールが守られていることを確かめるには、どのカードを裏返せばいいでしょうか?

 

教養としての認知科学

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この答えは、難しくないと思うのです。私も「直感的」に正解にたどり着けました。「キャッサバ」と「刺青なし」です。なぜなら「キャッサバ」は既婚者でなければ食べられないもので、それを食べている以上「刺青」をチェックしなければならないからですし、「刺青なし」の人は「キャッサバ」を食べていてはダメだからです。

だいたいおわかりになると思いますが、「理論的」には最初の「3」と「キ」のカード問題と、「キャッサバ」の問題の「難易度」は同じです。AIにとっては同じ、と言うべきでしょうか。

しかし私にとっては同じではありません。たとえ正解の出し方を知ったとしても、やっぱり「キャッサバ」のほうが簡単に感じられます。

つまり、たとえ私の頭脳が「この4枚カード問題を解ける程度には優秀」だとしても、その「優秀さ」を発揮するためには、一定の条件が満たされている必要があるのです。

そしてその「優秀さを発揮するための条件」を徹底的に欠いている問題を次から次へと並べ立てられ、それを次々に間違えるからと言って、「おまえはバカだバカだバカだ」と指摘されても、ちょっと納得がいかないという批判があるということです。

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ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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