佐々木正悟のメンタルハック

メンタルハックをテーマにおいたビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のワークスタイルを中心に書いていきます

【ビジネス心理】記憶に頼って仕事をすると、ふつうは失敗する理由

その理由というのは、記憶のキャパシティに限界があるからです。

そんなのはわかっている、マジカルナンバー7±2とかいうヤツだろう、と思う人はよくご存じです。

が、その上限がいくつであれ、限界があるということ自体にトラブルの種が潜んでいて、もしも限界がないのなら、問題は起こらないのです。少なくとも記憶に頼ってもメモをしていても、効率に大きな違いはないでしょう。

マジカルナンバーのことを知っているにもかかわらず、自分の記憶力を無限だと考えている人が実際には多いのです。それにも理由があって、記憶には無意識という領域があるからです。

フロイトは、記憶の領域を3つに分け、意識、前意識、無意識としました。

無意識とは、覚えているのに思い出せない記憶が貯蔵されている広大な領域。この領域があるため(その内容を思い出そうとしても思い出せないにもかかわらず)、人はどうも自分の記憶が無限のように思えてしまいます。

前意識とは、思い出そうと思えば、思い出せる記憶です。この記憶内容も膨大です。これもまた「自分の記憶力は無限だ」と人に思い込ませる要因になっています。

前意識は、無意識とはまったくちがいます。たとえば「明日は水曜日」です。これは、前意識です。思い出そうと思えばいつでも思い出せますが、いつもいつもそのことを覚えているわけでも意識しているわけでもありません。そういうことは、たくさんあります。あなたの家の車は何色でしょうか? 名前は何ですか? 電話番号は? お子さんはおいくつ? お名前は? 知っている漢字だけで何文字あるでしょうか? 

こうしてみると、思い出そうと思えば思い出せる記憶というものの膨大さを知るでしょう。その内容は、決して曖昧でもないでしょう。

私たちがつい「私の記憶力は無限に近いものだ」と思ってしまってももっともです。

問題はこの「前意識にある内容をいま、意識領域に移す」と、それまで意識領域にあったものが、押し出されてしまうのです。この領域こそ、マジカルナンバー7±2なのです。

つまり、同時に意識できることがらというのは、前意識にある記憶内容などとちがって、ものすごく少ないわけです。アタマがいい人にしたところで、たかが知れています。アタマがいい人(知識のある人)の頭につまっていることがらというのは、前意識につまっていることがらです。同時に百も二百ものことを意識できるわけではありません。

意識領域に置いておける内容は、著しい制約があるため、新しいことがらが入ってくると、何かが前意識に戻されてしまったりします。ひどいときには無意識の領域に行ってしまって、とり戻すことができなくなります。

忙しくなってくると、この入れ替わりが頻繁に起こります。スタメンは9人なのに、どんどん選手が入れ替えられて、「あ、あいつは残しておくべきだった!」というようなものです。

今ちょうど日本シリーズをやっていますが、どの「9人」で戦うか、監督は常に頭を悩ませています。記憶に頼るということは、この「9人」を相手の監督に選ばせるようなものなのです。