佐々木正悟のメンタルハック

メンタルハックをテーマにおいたビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のワークスタイルを中心に書いていきます

【精神分析】自ら選べないことはたくさんあります

そもそもはたして「アドラー心理学」というのが、いわゆる劣等感から今みたいにずいぶん違う点が強調されているのも不思議な感じがしますが、流行は侮れないですね。

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

 

それはそれとして、どんなことなら自分の自由に選ぶことができ、どんなことができないのか、曖昧なゾーンというのはあるものですから、それを全部一元化してしまって「すべては自分の選択の結果である」というのは、おぞましい話だと私は思います。

ガンになった人に面と向かって、「あなたはガンになりたかったのだし、治らないのだとしたら、治らずにこの世から立ち去りたいと思っているのです」と言える人というのは、どういう神経をしているのか。

それよりも「本人が選択していないはず」にもかかわらず一見するとそう見えないという厄介な事例もあります。

ジル・ド・ラ・トゥレット症候群という病気がある。

この病気の患者は、街中ではひときわ注目を集める。よろよろしながら歩きまわり、顔をぴくつかせながら、脈絡のない言葉や猥雑なことをわめきつづけるからだ。

まわりの人は驚き、子どもたちはくすくす笑う。なかにはどなり返す人もいるが、たいていの人は急用を思い出したような顔をして、あわててその場を離れる。

この病気の人を見かけたら、いい気持ちはしないだろう。

だが、本人の立場になってみてほしい。

患者のほとんどは正常か平均以上の知能の持ち主で、他人の目に自分がどんな風に映っているか、いやというほどわかっている。糞便関係の言葉を口にしてしまう傾向を汚言と呼ぶが、この症状がつらいのは、他人に相手にされなくなるからだ。

無意識という闇の世界が、爆発的な力で表面に出てしまうのだ。

(p79)

ビジュアル版 脳と心の地形図―思考・感情・意識の深淵に向かって

ビジュアル版 脳と心の地形図―思考・感情・意識の深淵に向かって

 こういうのはどうでしょう? 

 「無意識という闇の世界が、爆発的な力で表面に出てしまう自分」を自らが選んだと言えそうでしょうか? もしそうでないとするなら、「調子に乗れない自分」を無意識に強制されているにもかかわらず、それは自分で選べるとする根拠をどこに求めましょう?

前期口唇期は何度か書いてきましたが生後間もなくから1歳半くらいまで。そのころまでに「調子に乗れない自分」を形作ってきたとすれば、なぜ自分がそうなのか、見当もつかないという人が大半なのではないでしょうか?

トゥレット症候群はたしかに目立ちやすいかもしれませんが、目立ちにくくても無意識の力はある意味で強力であり、かつ機械的です。仮に意識的選択というものが可能であり、十分有力だとしても、「すべては自らの選択である」と言い切れるほど、目的論が有効な場面は、そんなに多くはないものです。

マクベス夫人は別に好きで手を洗い続けていたわけではないのです。