佐々木正悟のライフハック心理学

ビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のライフハックを中心とした生活ブログです

Appleの製品を買うことは本当に合理的なのか?

煌びやかな神殿の中で、明るい照明のもと、店員を呼ぶと若く熱心で〝才能あふれる〟販売員がとんでくる。

何よりもアイテムをガラスの箱の中で売る必要がある。他の客だけでなく、道行く人たちにも見えるようにするのだ。

そういう人たちがのぞきこんで、選んでいる人を目にする。

これが完成すれば、ほぼどんなものでもその店で売ることができる。

 

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

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抱腹絶倒の本でした。皮肉に充ちた調子で次から次へと「ユーザーの不都合な真実」を暴き立てます。人はなぜAmazonでものを買い、Appleストアに礼拝し、Facebookに個人情報を提出して、Googleに・・・。

それはぜんぜん得をするからでも合理的だからでもない。にもかかわらずこの4者を拡大させる方向にみんなどんどん引きずられていって、おそらく大半の人は幸福になんかなれないだろう。

という話を笑いさせながら読ませるのです。本を読むという行為自体がブラックユーモア。もっともそれは名著ではよく起こりがちな事であり、そういう意味で、著者はかなりの文筆家です。

この本を純粋にたのしめる読者にしてみれば、あまり目新しいことなど書いてありません。「そんなこと、分かっているよ!」ならばなぜ、Amazonでものを買い、Appleストアに礼拝するのか?

アップルはこの意味ではエルメスとは違う。

コンピュータや携帯電話は、他の安いブランドの 20 倍から 100 倍の値段では売れない。

しかし、それでもかなり高い値段をつけている。

iPhone は会員クーポンなしだと 1 台 749 ドルだ。格安メーカーのスマホなら 159 ドル、最新のブラックベリーは 549 ドルである

 

いささか冷静になって思いかえして見れば、Appleが押しつけてくる「体験」は決して合理的なものではありません。

私がもっている最新の「新しい」MacBookは新しすぎて、タイプCとイヤホンしかさせません。おかげでセミナー会場のプロジェクター前で立ち往生したことが、1度や2度ではすまなくなっています。

またあまりに流線型でつるつるしているiPhoneは、その美しさのあまり、手からこぼれ落ちます。おかげで流線型に傷がつくし、私は未経験ですがよくガラスにヒビが入っているのを持ち歩いている人がいます。

Apple製品のブログ記事を読んでも、なかなか納得のいく理由が記事になっていることは少ないと気づくでしょう。人は何故iPadを買うのか? これを知りたくて私はよくググるわけですが、その多くは「開封の儀」で覆い尽くされているのです。

いちばん正直な人たちの記事によると「iPadは最初、軽量のノートパソコンの代わりにするつもりだった。じっさいにはそれは、軽量ノートパソコンの代わりにはならない。しかしiPadの素晴らしさに、私はすっかり惚れ込んで、ノートパソコンの代わりになどする気にはならない。iPadはじっさい素晴らしものだ!」とこうなのです。

しかもこうした記事がけっこう多くて、なんと解釈すればいいのか、なかなか理解が行き届きません。

モノがいいからだよ、と彼らは言う。

直感的に操作できるユーザー・インターフェース。それに効率アップのためのクールなアプリケーションを見てくれ。

ラップトップはほかより性能がいい。

ウォッチは 1 日 3000 歩余分に歩くよう励ましてくれる。高くても納得だろう? 

彼らは自分にそう言い聞かせる。

しかし『GAFA』の著者は、もっと深いところをえぐり出します。Apple製品は、ユーザーを「セクシーにする」というのです。そういうものなのでしょうか? 私はiPhoneを使っているところをあまり人に見られたくないと思いさえするのですが。

ところで私は、高級品を買えば実際にモテるようになると言っているわけではない。何百万人もの iPhone ユーザーが、 1 人で寝ているに違いない。

しかし高級品を買うと感情のスイッチが入り、幸福や成功を感じさせるセロトニン量が急上昇する。

おそらくそれで他人から見て魅力的に見えるのだろう。

何度も引き合いに出して恐縮だが、格安のデルではこうはいかない。

 つまり私たちは、合理的な理由で買い物などしていないと言われているのです。合理的だと思い込もうとしているから、幸福にもそのことに気づかずにいられるだけで。

アップルで 1993 年から 98 年までハイテク部門の副社長を務めた認知工学者ドン・ノーマンは言う。

「洗車してワックスをかけたてのほうが、車はよく走るだろう? 少なくともそう感じるじゃないか」

著者の言うことは、おそらく正しいと感じながら読み終えたことを、私としては認めざるを得ません。

そして同時に今後もApple製品を買うであろうことも。

 

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