佐々木正悟のライフハック心理学

ビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のライフハックを中心とした生活ブログです

「うつ病九段」は読んでおきましょう

 

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

 

 


先日記事に書いた本と違って、こちらはいわゆる「闘病記」ですが、いま一番オススメです。少なくとも「うつヌケ」よりオススメしたいです。

 

nokiba.hatenablog.jp

 

これまで私が読んだ中で、おそらく一番打つになった真相に近いと感じられたのが、こちら。

 

ビジネスマン「うつ」からの脱出

ビジネスマン「うつ」からの脱出

 

 

しかしこちらの本は、あまりにも優秀な人が書いたせいか、ウツのおぞましさがいまひとつ伝わってきませんでした。

今回の方は、はるかにそのおぞましさが伝わってきます。「急性期」などと書かず「極悪期」と書くあたりにも、専門家で目線ではなく、患者目線だということが伝わってきます。

どちらの本にも共通していることとして「決断できなくなる」ことが繰り返し書かれています。

棋士が決断できなければ、もちろん仕事になりませんが、そもそも私たちが普通にしている決断というのはあまりに多岐にわたるため、決断済みが前提になっていないとできない決断というのがたくさんあります。

昼食になにを食べるかということを決めるには、そもそも昼食を食べるということが事前に決定されている必要があります。


昼食を食べるという決定は、モノを食べるというけっていた事前にあります。

「生きるべきか死ぬべきか、それがクエッションだ」ということになってしまうと、いちばんの前提からクエッションになってしまうため、以後何一つ決定できなくなるか、するとなったら全部意識的に決定していかなければなならいので、時間がかかってしようがありません。

しかし、精神のエネルギーが極限まで低下している状態では、「決定」などというエネルギーを喰うことを、脳はほぼ全て拒否するので、ふだんは「すでにすんでいるはずのこと」がすまされなくなります。こういう基本が奪われるような事態こそおそろしいのです。

お金が極端になくなってくると、大前提として支払い続けているようなものすらも、切り詰めたくなるでしょう。水道料金をどうにか切り詰められないかとか、給食費を何とか払わずにすませられないかとか。

心理的負担についてそういう倹約令が発動されてしまうと、ふだんどおりに「ものを見る」ことすら脳からすれば「ムダだ」ということになってしまいます。

ある日のことである。テレビを眺めていると、突然、色が目に飛び込んできた。

何の映像かは覚えていないのだが、派手な原色(の感覚)が私の体の中に電撃的に走ったのである。今思えば、うつがもっともひどい時は、すべてがモノクロの世界だった。

今となってはすこしずつ脳の中の感覚が戻りはじめたのだと分かるが、その時は逆に自分がおかしくなったのではないかと不安になった。

 

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

 

 


色彩というのは、生き続けることが当然ならば必要かもしれませんが、そうでなければ「贅沢品」というわけです。


私たちがよくやってしまう先延ばし。「大変そうな仕事をやろうかどうしようかで悩んでしまう」というのも、実は「贅沢な悩み」なのであって、そこに至るまでに、たくさんあるはずの葛藤が無意識のうちに「すまされている」からこそ、仕事のことを悩むレベルに達せているわけです。