佐々木正悟のライフハック心理学

ビジネス書作家・佐々木正悟のブログです。ビジネス書作家のライフハックを中心とした生活ブログです

『感じない男』は納得いかない本だけどとてもおもしろかった

 

感じない男 (ちくま新書)

感じない男 (ちくま新書)

 

 ちょっと前に読んだ本なのですが、じつにおもしろかった。

その理由も本の中に書いてある。とにかく徹底的に赤裸々だからだ。男性の性について、自分自身を題材に、ここまで執拗に分析している本は珍しい。

読んでいてなんとも言えず納得できるところと、なんとも言えず納得のいかないところがある。題材がとことん著者自身のため、やむを得ない。ここまで開けっぴろげにしてもらったことを素直に感謝したい。

本書にはいくつかポイントがあるが、最大のポイントについて、私は実はいちばん納得ができていない。「男は感じない」という点だ。すべての男がと、著者は決して言ってないので、そこをつくのはどうかとも思うが、私は著者の言う「男の不感症」についての言説は、やはり納得できない。

いわゆる「賢者モード」について、著者は「墜落」という表現をとる。たしかにそういうふうにも思えるけれど、著者の表現がいささか大げさであるか、あるいはやはり私よりも「重度」なのか、そこのところがわからないのだ。私はそこまで「墜落」を深刻に感じない。

むしろ男性の性欲には「極端な緊張感」としか言いようのないところがあるように思う。それがいわゆる「男性優位主義」と絡み合って、どこかがいびつになってしまいがちなのだ。

そもそも生体にしてみれば、男のマスターベーションは、あまりに不毛で割に合わない行為だ。一日中自分で遊びすぎてゲッソリ😱ほおまでこけるのは、漫画的表現でしかないけれど、「ぐったり」するくらいはあり得る。それは「墜落」と言うより体力を急に使いすぎるのでそういうことになってしまう。

その「急な使い方」に先に述べた「極端な緊張感」が要求される気がする。脳にしてみれば、大局的に計算したら、男の自慰は計算に合わない。無駄すぎる。だからやめてもらいたい。でもそれではそもそも性欲が成り立たなくなる。だから視野狭窄が必要である。

急激に昂ぶらせ、事を一気に運んでしまう。(途中でよくよく考え始めたら、マドレーヌとコーヒーに走ってしまうだろう)。

男とは言え脳の他の部分は、この性急な展開にとてもついて行けない。しかし脳はつじつま合わせが得意と言うより仕事であるから、無理してでもつじつまを合わせようとする。ここにゆがみが入るのだと思う。文化に男性優位主義があるのなら、そういうモノも援用されるはずだ。

私はタスクシューターなので、自慰の時間ももちろん計っているし、その内容も少なくとも3分割に分析している。展開はいかにも急である。その性急さが、『感じない男』ではかなり軽く扱われていると思う。

「感じない」のではなく感じてはいるのだけど、それを実感するには時間的余裕が足りなすぎるのである。ジェットコースーターでなにを感じても、名状しがたさがいくらか残る。

だから私は、こと自慰について、男の支配欲という説明では、あまりに説得力が足りないと思う。「支配」とは、少なくとも意味のあるモノであるならば、一定期間の長さが必要だ。

あんな、長くて10数分、短いときには数秒間の「支配」では、支配の意味がない。私はそもそも、人を支配するということに、ほとんど興味がわかない。「無意識の支配欲だ」などと言う人もあるけれど、無意識だとしてももっと別の欲求が予感される。

その辺の疑問について、「決定版」を読んで検討してみたい。

 

決定版 感じない男 (ちくま文庫)

決定版 感じない男 (ちくま文庫)