「ビジネス書」というカテゴリ名は、意味がとてもわかりにくい。
というより、ほとんど意味がないような気がする。
しかしそれはある意味、仕方がないことでもある。
rashita.net
- 「ビジネス書」って最近変質してきたよね
- 「薄利多売」のスタイルは、全体的な質の低下を呼ぶんじゃないですか
- もちろん、良書と呼べる「ビジネス書」もありますよ
- で、あなたはビジネス書を読むためにビジネス書を読んでいませんか?
「ビジネス書を読む」のは「デキる人になる」ためではない。
ごく狭い即効性という意味ではそうかもしれないが、「ビジネス書」はそもそも、時代に追いつけない世の中の全体的なカテゴリを塗り替えるために出てきたものだ。
たとえば上の引用元の著者さんによるこちらの本。まちがいなく「時代の最先端」に位置する。
この本のカテゴリは一体どうなっているか?
こうなっている。
下のカテゴリはまるで意味がない。上のカテゴリも・・・である。経営学やキャリアは無理を言えば言えても、MBAとは関係ないと言うべきだろう。
本書は一般的に言えば「実用書」に属すると思うが、世の「実用書」の観念は時代に追いついていないのである。
実用書コーナーには、女性向けの料理本から家庭の医学まで幅広く揃っています。
決して間違っているというわけではない。ただもしいまをもって上の通りであるならば、ライフハッカーや倉下さんの本は、時代の先を行きすぎている感が否めない。
つまり、ライフハッカーが本当に読みたいと思う本のための「カテゴリ」や「コーナー」というものは、一般的な書店には存在してないのである。結果として全部「ビジネス書」に入ることになる。
だからライフハッカー的な人にしてみると「ビジネス書コーナーに行く」とは「書店に行く」ということと同義になるのだ。
そこには「令和の実用書」や「令和のビジネスマナー(SNSとか?)」「令和の倫理学(グッドバイブスとか、チーズはどこに消えたとか)が「全部そろって」しまっている。だからとても探しにくい。
ビジネス書ではないコーナに行けば、大きな書店に行けばだが、「エチカ」とか「ペン字」とか「美しい手紙の書き方」とかが「幅広く」そろっている。そういう本も大事だろうし、依然として根強いニーズはある。
でもそういう本だけを置いていたら、間違いなく書店は消えてなくなってしまう。実用もマナーも娯楽も倫理も、すべてAI時代に対応する必要があるのは当然だ。
それらはしかし各カテゴリの「最新書」ではなく、「ビジネス書」と呼ばれるところに置かれることに、なぜかなっているのだ。
だからビジネス書の「薄利多売のスタイルは、全体的な質の低下を呼ぶ」というだけの話ではないと私は思う。