佐々木正悟のライフハック心理学

ビジネス書作家・佐々木正悟の公式ブログです。なるべくならお役立ち情報を出していきたいと思っています。

「絲的ココロエ」はすばらしくいい本でした

 

絲的ココロエ―――「気の持ちよう」では治せない

絲的ココロエ―――「気の持ちよう」では治せない

 

 「いとてきこころえ」と読むようです。糸を二つ書いてもやっぱりイトと読むのですね。

この本は、珍しく「躁」についてある程度詳しく書かれていて、しかも「躁について書かれている本が少ない」という指摘までされている、「そううつ」の本です。

うつとは異なり、躁についての情報は不足している。

この一文だけでも、買う価値あり、と言えると思います。

「躁」だけではないのですが、「躁」について当事者が書いたものは傾向として、「破天荒なエピソードを読者サービスのように書いたもの」が多いのです。

あり得ないほどアルコールを飲みながら、向精神薬をツマミ代わりにして、あちこちの女性のもとを渡り歩いて過ごした、波瀾万丈の・・・といったやつですね。

これが有名人エピソードだったりすると「へええええ!そうなんだあああ!」という面白さで読み進めていけるのですが、申し訳ないけれど、途中から飽きてしまいます。

絲山さんの本は、そこのところの抑制が驚くほど効いていて、正直に言うと、躁病者ではないと感じられるくらいです。

躁で小説は書けません

この一文でも、やっぱり買うに値します。躁ですよねやっぱり!とは思いましたが、私はそれでもやっぱりいちおう心理学の大学を出たからで、この辺の誤解は広がっていると思います。

個人差があるから難しいのですが、「躁」はある意味ではうつのつらさや苦しさや不快さを保ったまま、ただ行動的になるだけというケースがあります。知らないとびっくりしてしまいますが、抑えがたい怒りに当人が振り回されているケースもあります。

私は留学中、すごい厳ついアメリカ人教官に、いきなりメチャクチャ怒られて、半泣きになったことがあったのですが、あとで指導教官の人に「ショウゴごめんね。あの人は躁鬱なんで、ほんのときどきああなるので許容してやってください」といわれたことがありました。

この言われ方だけでは誤解を招くし、現に私は事態がよくつかめず、「何の病気にしたってあれはないだろう」と憤慨したものです。しかしやっぱり当人にとってはとても大変なのです。(ということを後からだんだん理解しました)。

こういうことは、当事者の発信がないと一般にはわかりにくいのです。そういう意味ではこの本は貴重です。