佐々木正悟のライフハック心理学

ビジネス書作家・佐々木正悟の公式ブログです。なるべくならお役立ち情報を出していきたいと思っています。

やるべきことが決められないとき

『江は流れず』

という小説を読み終わりました。

日清戦争の話です。

素晴らしく面白かったのですが、タイトルがどうも響きませんでした。

しかし読了してみると、なるほど!です。長江、揚子江といった世界に名だたるその江が、流れない。

敵国日本は日の出の勢いで、それをなんとかしなければならない中国の方では、物事が遅々として進まない。それどころか停滞して久しく止まってしまったまま、国が亡くなってしまいかねない。

日本人なのに私はこれをよんで、いかにも残念だという気持ちにも共感できました。だから評価が高いのでしょう。

 

江は流れず―小説 日清戦争 (上巻) (中公文庫)

江は流れず―小説 日清戦争 (上巻) (中公文庫)

 

この時代の「中国」は「清」です。だから日清戦争。

けれど、戦いの主体は清王朝の満州族ではなく、漢族。

ここに大きな問題があります。

3巻本の下巻では、すでに清国の敗北は決定的で、後はもうどうやって停戦講和に入るかだけが問題になっています。賠償金はどのくらい払うか。国土を削り取られるのを受け入れるのか。

という状態になると、「講和する」と言い出しただけでも、売国奴扱いされて殺されてしまいかねない。1944年頃の日本と同じ雰囲気です。

「お上のまわりには、勇ましいことばかり申す者がいる。そのような雰囲気のなかでは、ことを申すことすらできない。よほどの勇気がなければ」

 

戦争末期の日本でも「勇ましいことばかり申す者」がたくさんいたと言われています。

が、このときの中国は、もっと事情が込み入っていたのです。

主戦論の連中は、みな漢族の大臣だったのである。彼らは悲憤慷慨し、皇帝の前で慟哭して力戦を主張したという。

あくまで日本と戦う。

だが、いまの状態では、戦えば戦うほど傷が深くなる。

国はほろびる。その国とは、清王朝である。

 

悲憤慷慨し慟哭しているほどの大臣たちは、しかし内心では、いやもっと心の奥深くでは、(戦って国が滅びたって、いやいっそ滅びてもらえれば・・・)と考えていたのかもしれません。このときの「お上」には西太后という非情にして魑魅魍魎な「上司」も含まれていました。 言うまでもなく「清王朝」の人です。

真剣に国に滅びて欲しくないと願う、比較的良識があった「清王朝」の皇族(恭親王)だけが、「停戦講和」を目指していたというわけです。

ただ、どうしたらそれが可能になるのか?

 

悩みが深くなったときは、シンプルに発想するのが鉄則です。

 

「老生は政治や軍事のことなど、まったくわかりませぬ。ひとことだけ、殿下におたずねしたいのですが、この戦い、いったい、勝ち目があるのでしょうか? すこしでもいいのです、勝ち目は?」

恭親王はひと呼吸おいてから、ゆっくりと首を左右に振った。

「それなら、殿下のなさることは、きまっているではありませぬか。悩むことなど、なにもないはずです。」