佐々木正悟のライフハック心理学

ビジネス書作家・佐々木正悟の公式ブログです。なるべくならお役立ち情報を出していきたいと思っています。

タスクシュートという記憶術

カレンダー覚えが「一般的な記憶力の範囲」をはるかに超えるという理解も苦笑である。

なぜなら「カレンダー」と呼ばれる物自体が、人類の生み出した偉大な「記憶術」の一形態であったわけで、そういう「カレンダー」という存在そのものすら著者は一度たりとも考察していないのである。

 

自閉症―これまでの見解に異議あり! (ちくま新書)

自閉症―これまでの見解に異議あり! (ちくま新書)

 

 

著者のこの指摘は大変スリリングで、またとても辛辣でもあるのだが、これは「自閉症児の中には日付と曜日など、特定の規則性を有した情報に対する、抜群の記憶力を有する子がいる」といった「通説」を批判しているものです。

著者の村瀬さんはこう言っているのです。

(自閉症児には)「一般的な記憶力の範囲」をはるかに超える(子もいる)などと平気で言うけれど、ではその一般的な人々が、一般的な記憶力の中で、たとえば去年の何月何日に沖縄へいったが、その日は何曜日だった、と正確に宛てることができたりする「すごい記憶想記」のケースについて、きちんとロジカルかつ科学的に説明できるのか?

村瀬学さんは言い切ります。「「自閉症の謎」などない」。カレンダーについて言えばカレンダー自体がすごいのであって、カレンダーを用いた「記憶術」(これを「記憶力」と分けるべきだとも村瀬さんは指摘します)にそれほど驚くべき点などないのだ。

私はこれにまったく同意します。私の仕事分野で言えば、タスク管理がこれとよく似ています。そもそもタスク管理とカレンダーは似ています。

タスク管理術とは、「記憶術」の一種です。「記憶力」に若干の弱さがある、もしくは「驚異の記憶力」を発揮する気がサラサラない人々によって発案されたのがタスク管理、と言えなくもありません。

これまでのところめぼしい発案は、私の見たところたった2種類しかありません。GTDとタスクシュートです。こう考えると私がタスクシュートに「こだわる」のは、他にほとんど選択の余地がないせいでもあります。

「記憶力」が頼りにならないから「記憶術」が考案されるのです。タスクシュートはそういう意味ではまさに「驚異の記憶術」です。

何しろやったことは片っ端から何でもかんでも「記録する」ので、「記憶力」の個人差など吹っ飛ばしてしまいます。

よくよく考えてみると、もしもカレンダーがなかったら、私たちは今日が何日で、夏がいつ来るか、三日後に何をするかといったことについて、まったく管理できなくなるはずです。まさに「驚異の記憶力」を誰かが発揮してくれるのに祈るほかない。

タスクシュートは私自身のカレンダーです。これを見れば、月曜日と火曜日がどう違うのか、一目でわかります。

もちろん、「記憶力」に頼ったとしても、月曜日と火曜日の違いがまったくわからなくなるわけではないですが、タスクシュートがあるのとないのとでは、カレンダーがあるのとないのほどの違いがあります。

カレンダーがなければ、今日が何曜日かわかる人は、誰もいなくなるでしょう。