治癒とはある生き方のことなのだ。
心の治療は生き方を与える。 そしてその生き方はひとつではない。
インチキ療法、という言葉の意味を再考させられる本でした。
私たちはつい「インチキ療法」というものを
- 効きもしない薬をべらぼうな金額で売りつける犯罪者
のように思いがちですが、 この定義だけではいろいろな無理が生じます。
- それなら明らかにどう見てもインチキにしか見えない薬でも、効けばOKか?
という問にどう答えましょう?
「そういうことはあり得ない!」とどれほど強く思っても、効くと思って飲めば真水でも病気を治すということが、現実に起こってしまうのです。
というわけで「ライフハックの薬効」について考えることになったのですが、今回はわかりやすいように「手帳」について考えます。
年末といえばどっさり手帳がLOFTなどに登場します。
手帳が仕事なり生活なりを助けるかといえば、助けになる人は多く居るでしょう。
とくに、
- これまで予定管理を完全に頭でやってきたが、人に怒られてばかりいる
という人には効果があるはずです。
これを「手帳に救われる人」としましょう。
また、手帳をそれなりに役立ててきたが、特に役立つのは大好きなデザインの手帳を使うことや、特別なやり方がとても自分にフィットしているから、というタイプの人もいるはずです。
これを「手帳術に救われる人」としましょう。
ここで冒頭の引用を思い出し、それをもじってみます。
- 手帳とは、ある生き方のことなのだ。
- 新しい手帳は、新しい生き方を与える。
無理があるようにも見えますが、しかし現にこうやっている人はそれなりにいらっしゃるのです。
『野の医者は笑う』からもう少し拝借しましょう。
心の病いや傷つきとは、生き方の不調にほかならない。
私たちはこの世界の中でうまく生きていけないとき、心を病む。
・・・そういう危機のときに、心の治療は、人に新しい生き方をもたらす。
その生き方はそれぞれだ。
仕事をしていて、やる気がなくなったり、燃え尽きそうになったり、残業続きで仕事が回らなくなります。仕事の不調です。
そうしたときに、新しい手帳を買うことがあるでしょう。
これは新しい仕事のやり方を、提示してくれるように見えます。もちろん、手帳の数は膨大であり、使い方は人それぞれです。
大事なのは、生き方がひとつでないように、仕事のやり方もひとつではないことです。
それは誰だってわかっていることではありますが、私たちは非常に不思議なことに、黙っていると毎回、まったく同じようなやり方・生き方を繰り返すようになるのです。
けれども、朝起きてみたら、目の前にまったく見たこともないような手帳があったとしたら?
あるいは、まったく新しい手帳術を試したところ、それまでの仕事がまったく新鮮に見えるようになったなら?
あるいはいっそのこと、仕事なんか辞めて、「このすごい手帳術で人生が変わりました!」とYoutubeで叫んでみたら、それが新しい仕事になった!としたら?
それらは「(この)手帳(術)のおかげ」ではないと思われるかもしれませんが、本人にしてみれば紛れもなく「(この)手帳(術)のおかげ」なのです。
そして同じようなことはきっと、他の人にも起こりうることです。