佐々木正悟のライフハック心理学

ビジネス書作家・佐々木正悟の公式ブログです。なるべくならお役立ち情報を出していきたいと思っています。

『社会心理学講義』はとても面白い本です。タスクシュートに心を読み取られる体験

被験者にスライドを見てもらい、いつでも好きな時にプロジェクタのボタンを押して次のスライドに移動するよう指示する。

ところがボタンはプロジェクタに実際には接続されておらず、ボタンを押しても何も起きない。

その代わりに被験者の脳波を測定し、指の運動を起こす命令信号が発生した時にプロジェクタのスライドが瞬時に変わるようにしておく。

もちろん、被験者はこの舞台裏を知りません。  

さて実験が始まると被験者は不思議な経験をする。

というのは被験者がボタンを押そうかと 思う寸前 にスライドがすでに変わるという、通常とは逆の感覚が現れるからです。

まるで本人も知らないうちにプロジェクタに心を読み取られる感じです。

 

  

社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉 (筑摩選書)

社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉 (筑摩選書)

  • 作者:小坂井 敏晶
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2013/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

私はこの実験は、残念ながら体験したことがありません。しかしこの実験にこそ、リベットの『マインドタイム』の本質があります。

私たちが「自由意志を発揮」していると感じているその瞬間は、脳からすればすでに自由意志は「発揮し終わっている」のです。 

しかし私は、10年の中で2度3度ではありますが、たしかにタスクシュートでこれを経験したことがあるのです。

たしかに、開始時刻を打刻し、すでになにかの作業を始めてしまった直後に、ふと、自分がその作業を確実に始めてしまうであろうことを自覚したということがあったのです!

これはなかなか驚くような体験で、ぼうっとしていたというのではなくて、頭はきちんとしていたにもかかわらず、こういうことがたしかに起こったのです。

つまり、まるでタスクシュートに心を読み取られている。あるいは、タスクシュートが私の行動を前もって予言しているかのような経験でした。

とても調子の良い一日が、あまりに調子よくリスト通りに進んでいくと、それに「逆らう」ような行動をもはや取ることができなくなって、「逆らう」という「自由」が自由でも何でもないように思えてくるのです。

トイレに行きたくてしようがないとき、その人は、トイレに行く自由意志を発揮しているのでしょうか?

それとも、膀胱の苦しみにより、トイレに強制連行されているのでしょうか?